サスティナブルな取り組み
株式会社プリサージュ 代表 佐野昭子|元日本航空CAが開発した「人間力」を高めるホスピタリティ研修とは?
*このインタビュー記事は株式会社SACCOが運営する「coki」によるものです。
「自分は何者か?行動の源は?」元日本航空のCA(キャビンアテンダント)株式会社プリサージュの佐野昭子代表が研修で掘り下げるのは、マナーやホスピタリティのスキルやノウハウを超えた「その人自身」。
受講生は、掘り下げた価値観をもとに設定した目的に向け、ステップを踏み、目標を達成することで自信を育む。自己肯定感が確立されれば、心に余裕がうまれ、周囲に感謝し相手を慮る真のホスピタリティマインドが醸成される。
「一人ひとりの要望に合わせた対応がホスピタリティ」との信念のもと、数々の受講生に気付きと変化をもたらし、企業や個人の魅力を引き出してきた佐野代表に話を聞いた。
「ホスピタリティマインド」の源泉を掘り当てる
●まずは、御社の事業内容についてお聞かせください。
事業内容は、企業向けのビジネスマナーや接遇研修、コーチング、ファシリテート研修から、大学生や高校生向けのホスピタリティ講座、マナー講座まで、多岐にわたります。2002年頃からマナー研修やホスピタリティに関する講演などを行ってきて、2018年に法人化しました。
研修や講座を始めるとき、最初に受講生に投げかけるのが、「今、幸せを感じていますか?」という問いです。なぜなら、私の研修では、自己肯定感を高めることを重視しているからです。
充実していて自分のことも好きでいてあげられる状態であれば、心に余裕が生まれ視野が広がるので、お客様やまわりの人たちのことを自然と考えることができるようになるのです。
でも人間誰しも、自分のことは意外とよく知らないものです。自分の顔だって、鏡で見ないと見えませんよね?内面的にも意外と見えていない部分が多々あります。
ですから、まずは「自分は何者か?行動の源は?自分についてどんなふうに考えているの?」と、自分の内面を深く掘り下げ、行動や思考の癖を知り、自分自身を見出していきます。
ディマティーニ博士の価値観ワークで学んだことを活かし、価値観の明確化も行います。
研修を通じて、「自分を成長させるのは自分でしかない」という気付きが得られた受講生は、昨日より今日、今日より明日と、自分を高めるために努力するようになります。その結果、「私は大丈夫」と手応えを得ることができ、自分を好きになっていくのです。
一人ひとり異なる強みと弱み。その自覚が人や企業の魅力を引き出す。
CA時代、機内で
●「プリサージュ」という社名は、どのようなところに由来しているのですか?
「Prism(プリズム)」とフランス語の「image(イマージュ)」の造語です。太陽光をプリズムに通すと、いろいろな色がスペクトルとして現れ、それぞれの色光を集めると白色光に輝きます。
一人ひとりの人間も、さまざまな色をした「個性」を持っていますよね。その強みと弱みをしっかりと自覚してスペクトルを集めれば、白色光のオーラを発するように輝くことができます。
弱みを補強し、強みを伸ばすことで、その人や企業の魅力を引き出し、イメージアップを図りたいとの想いで、命名しました。
●なるほど。「個性」に着目するようになったきっかけは何かあったのですか?
私は研修講師の仕事を始める前、日本航空(JAL)のキャビンアテンダント(CA)として12年間、JALWaysのCAとして2年半、合わせて約15年間にわたり、飛行機の中で仕事をしてきました。
そこでは、「一人ひとりに合った接客」が重要視されていて、「一人ひとりの要望は異なり、それに合った対応も異なる」ということが、ホスピタリティの信念として根付いていました。
その後、CAの仕事を離れ、JALアカデミーのマナー講師として研修講師の仕事をスタートしたのですが、徐々にマナー研修だけでは物足りなさを感じるようになってきました。
そこで、人間のコミュニケーションに大切な要素や、人間の本質を学んだり、自己啓発のセミナーに通ったりして、さまざまな勉強を重ね、現在の事業内容を構築しました。
JALでの仕事やその後の学びを通して最終的に行き着いた真理が、「一人ひとりの要望に合わせた対応がホスピタリティ」であり、その前提として「自分自身の自己肯定感が確立できていなければホスピタリティは提供できない」ということでした。
●ホスピタリティ研修とは自身の成長を促し、自己を肯定するプロセスでもあるのですね。研修をする中で喜びを感じる瞬間はどのようなときですか?
やはり、受講生の変化が見えたときですね。気付きを得た人が変化する様子を目にしたり、周囲の人が「あの人最近変わったね」と噂する声を耳にしたりしたときは、「よしっ!」とひそかに心の中でガッツポーズしています。
パラダイムシフトを起こし、変化を促す研修は、受講生の人生を左右し得るほどの影響を与える研修でもありますから、心して臨んでいます。
大学で講師をしていると、講座を終えた大学生からよく、「人生観、変わりました」という言葉をかけられます。「大丈夫!?」って思ってしまいますけど、「大丈夫です!」って元気よく返してくれるので、良い方に変わったんだろうと(笑)。
●佐野さんが学生も含めた教育分野に携わるようになったきっかけは?
剣道を教えていた父の影響はあるかもしれません。
父が他界したとき、葬儀に剣道の教え子たちが大勢来てくださって、「こんなに慕われていたんだ」と知り、改めて「すごいな」と思いましたね。母とも話していたのですが、「惜しみなく与える人」でした。
不思議なことに、父が他界した後、教える仕事が増えるようになりました。73歳で亡くなった父が、「まだ教えたかった」という想いを残して逝ったんだろうと思います。
それが“降りて”きたから、こうして教育業界に深く携わるようになったのかなと。
ですから私も、「惜しみなく与える」性格を引き継いで、「持ってるものは全部あげます。要らないものは『要らない』でいいから、気付きがあれば全部持って行って」という気持ちで、教える仕事を続けていきたいですね。
「自分を成長させたいなら、自分を好きになって」
大学での講義風景
●大学で客員講師をされていますが、大学生にはどんな研修をされているのでしょうか?
【SDGs目標4】
質の高い教育をみんなに
コースの初回に、学業、生活、その他の3つの分野で、ひとつずつ目標を立ててもらいます。
目標は目的を達成するための手段ですから、目的に向けて小さな目標を積み上げていくことで、自己肯定感を上げていこうというねらいです。
次に、目標に向けて週ごとに「今週のアクション」を設定します。決めたアクションを紙に書き出してもらい、翌週一緒に振り返ってフィードバックします。
「達成できて嬉しい?できなかったのはなぜ?」といったことを1対1で振り返り、できなかったときの悔しい気持ちや、できたときの誇らしい気持ちを確認しながら、「自分を認める力」をつけていきます。
講義では、学生に教えるのではなく、一人ひとりの悩みを聞き、相談を受けながらアドバイスします。1コマ150分のうち、約半分は個別に話を聞く時間に費やしているほどです。
私は嘘もお世辞も言いませんし、厳しいアドバイスをすることもあります。でも、言ったことは必ず覚えていますし、「一人ひとり見てくれている」ということが伝わっているのだと思います。
キャリアセンターの事務の方を通じて、「佐野先生に怒られたのが嬉しいと話す学生がいっぱいいます」とフィードバックをいただきました。
何度も強調したいのが、「今、幸せを感じ、自分のことを好きでいられる状態かどうか」ということです。
自分を嫌いだと、自分を大切にできないですよね。それってとても悲しいことだと思います。一生けん命頑張っている自分を認め、信じてあげると、文字通り「自信」がつきます。するとどうなるかというと、余裕がうまれる。
自分を好きになって、認めてあげて、心に余裕をもつことができて初めて、人に対してもホスピタリティを発揮できるようになるのです。
- 【cokiの視点】
-
SDGs目標4は、すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進することを目指しています。
プリサージュの研修は、先行き不透明で将来の予測が困難なVUCA時代に、一人ひとりが環境変化に適応しながら「自ら学び成長し、自分らしく生きる力」を養う普遍性が高いプログラムであり、あらゆる境遇の人々が個の可能性を追求できる公平で質の高い学びを提供するものである。
●企業に対してはどのような研修を実施されているのですか?
【SDGs目標8】
働きがいも経済成長も
ロングスパンで向き合う学生向けの研修とは異なり、新入社員研修、管理職研修、女性特化研修のようなスポットでの研修になります。
新入社員の受講生は、学生から社会人へとマインドセットを書き換えるだけなのですが、社会人3年目、5年目の受講生は、「今まで私は何をしていたんだろう?」と目が覚めたようになります(笑)。
企業向けの研修でも、目標と目的の違い、それぞれの設定の仕方などを、いちど白紙に戻して洗いざらい再検討します。すると、「自分の目標は目標じゃなかった」と気付きを得る人が多いです。
●企業の方々とお話される中で、コロナ禍を経て変化したことはありますか?
テレワークやオンライン会議が増える中で、コミュニケーションを取りづらくなったという管理職の声はよく耳にしますね。
そういったお悩みには、「伝わりやすい話し方をしているか?」を問いかけたり、月に1回でもいいのでコミュニケーションを取る機会を設けるようアドバイスしたりしています。
それでもやはり、周りの状況が見えにくいせいか、「自分さえ良ければいい」という人は増えているような印象です。
「大変そうだけど手伝おうか?」というような声かけもしにくい状況ですし、中にはコロナ禍で仕事量が増大した現場もあり、「コミュニケーションどころじゃない」という職場もあるようです。
●便利なツールが普及しても、コミュニケーションは課題として残っているのですね。
オンラインには効率の良さというメリットがあるので、それはそれで残しつつも、対面のコミュニケーションはできる限り必要だと思いますね。「先日と今日とでは、なんか表情が違うな」というような変化も、顔を見ればだいたい分かるものです。
上手にコミュニケーションをとるには、相手の表情や声のトーン、話す速度などをよく観察する力、洞察力、想像力が不可欠です。
ただこれは、必ずしも直接顔を合わせずとも、オンラインでも可能です。心に余裕をもってしっかり相手と向き合うこと、そして練習あるのみです。
【cokiの視点】
SDGs目標8は、すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進することを目指している。
プリサージュの企業向け研修は、企業活動に欠かせない目標設定の在り方を見つめ直す機会を提供し、働きがいのある仕事を後押しするとともに、管理職や経営者向けに社内コミュニケーションの課題解決に向けた助言も提供している。
研修にとどまらない、人材育成や組織づくりといった持続的かつ創造的に発展していく組織の基盤づくりに貢献している。
CAN’TをCANに変える。自分の可能性に気付く
●研修に臨まれるときは、どのようなことを心がけていらっしゃいますか?
まずは、「CAN’TをCANに変える」、つまり、「できなかったことをできるようにしてあげたい」という想いで臨んでいます。「あなたは、あなたが思っているよりもすごい人なんだよ」というメッセージを届けたいですね。
それから、コミュニケーションは第一印象がとても重要で大切なのですが、どうしても人間って「足りない部分」に目がいってしまうものなんですね。
例えばこのリンゴの絵を見てください。線がつながってない部分がありますね。「リンゴだと分かるんだからいいじゃん」と思うかもしれないけど、やっぱりここのつながっていない部分が気になるものです。オンラインでは特にそう。
ですから初対面ではまず、人の「いいところ」に目を向けるように意識しています。嫌いになってしまったら、心配りもできなくなりますから。
もっとも、受講生が初対面で減点されては困るので、接遇研修では「表情」「挨拶」「身だしなみ」「話し方」「態度」の基本的な5原則はもちろん押さえます。
●研修コンセプトに「守・破・離」を掲げておられます。
「守」は、基本的なこと、いわばマニュアルですね。
しかし、マニュアルでは対応しきれない場面はいくらでもありますから、そこを破らないといけない。そのために創意工夫する必要があります。
お客様のことを「顧客」といいますが、「個客」と捉えることもできます。それぞれのお客様は異なりますから、一社一社、一人ひとりに合わせた対応を提供するために創意工夫する。
こうして十分に経験を積んだら、こんどは自分の世界に飛び出す、「離」です。こうして、マニュアルに縛られない自分をつくりあげていきます。「守・破・離」は、すべての業界に通じることだと思います。
●最後に、今後の課題と展望について教えてください。
最近は、小学校の先生や子どもたちに向けた研修を依頼される機会が増えてきました。子どもたちは本当に素直で、マナー講座ひとつとっても変化が早くておもしろいですね。
北海道のある小中一貫校で、「おじぎをするときにはいったん歩みを止めておじぎしましょう」と教えたら、後日、校長先生から、「子どもたちがみんな止まっておじぎをするようになりました」とメールをいただきました。
大人はどうしても、変化を恐れたり、三日坊主になってしまったり、何十年もの蓄積で心身ともに凝り固まってしまいがちですが、子どもはどんどん吸収して成長します。
今後小学生向けの講座や小学校の先生向けの研修も、積極的に手がけていければと思います。
●子どもたちの自己肯定感にもつながっていくといいですね。本日はありがとうございました。
ライター 宮原 絵梨奈
ありがとうメッセージ
【クライアント様】計測検査株式会社 人事 平嶋朱実さん|ホスピタリティを軸に「強くて愛される会社」へ
*このインタビュー記事は株式会社SACCOが運営する「coki」によるものです。
ドローンや独自開発のトンネル点検車「MIMM(ミーム)」など、最新鋭の技術を駆使して大規模な構造物を破壊せずに検査する計測検査株式会社。
技術サービスを提供する企業でありながら、10年以上にわたり株式会社プリサージュの代表佐野昭子さんの各種研修を通してホスピタリティ意識の醸成を図ってきた。
「強くて愛される会社」を目指す同社の総務部長平嶋朱美さんに、佐野さんとの出会い、プリサージュの研修を経て社内に起きた変化、そして両社の関係性の今後について語っていただいた。
北九州発のインクルーシブなオンリーワン企業、最新鋭技術でインフラを守る
●はじめに御社の事業概要をお聞かせください。
当社は、北九州市に本社を構え、横浜市、茨城県神栖市にも拠点をおいて、各地のインフラ構造物やプラント、機械設備などの耐久性の測定、画像やレーザでの計測・調査を行っています。
中心となる部門は、プラントなどの構造物のきずを非破壊検査で検出する「検査部」、橋梁や鉄道車両などの調査・計測を行う「計測部」、トンネルなどのコンクリート構造物の画像計測やレーザ計測などを行う「調査部」の3部門。
さらに、劣化診断などを行う「解析G」、ソフト開発などを行う「開発室」が連携して、幅広い技術サービスを提供しています。
中でもトンネル点検については、交通規制することなく車を走行させながら点検できるトンネル点検車MIS&MMS(Mobile Imaging Technology System&Mobile Mapping System)、通称「MIMM(ミーム)」を三菱電機株式会社と共同開発し、導入しているオンリーワン企業です。
ここ数年は特に、AIやロボット、デジタルを使った検査への移行に注力しています。現在はかなり普及してきているドローンを使った検査もいち早く手掛けており、豊富な実績を誇ります。
●御社の社員の皆さんの様子を拝見していると、風通しが良く働きやすい雰囲気を感じます。
まだまだ発展途上ながら、従業員全員で部門横断的に「ありがとう」の輪づくりに取り組んでいるところです。
制度面でも、私が入社した当時と比べると産休取得や復帰後の時短勤務もしやすく、その人に合わせた柔軟な働き方ができる会社になっていると思います。
当社は、障害のある人の事業所とも連携していて、一人ひとりの体調面や集中力に合わせた多様な働き方を推進しています。
就労支援サービスの実習の受け入れや障害者雇用も積極的に行っており、連携事業所で作られたお菓子の社内販売もしています。
また、新入社員は必ず障害者施設で研修を受けており、インクルーシブな職場環境づくりに努めています。
当社が目指している在り方は、「強くて愛される会社」です。「強さ」はつまり、財務基盤を含め成長できる会社であり続けること。「愛される」は、シンプルにいうと従業員満足度の向上です。
「『強さ』と『愛される』の両輪を満たさずして会社の成長はない」という考えのもと、さまざまな取り組みを進めています。
株式会社プリサージュの佐野昭子先生の研修で教わるホスピタリティ意識は、その中枢となる考え方だと捉えています。
ホスピタリティ意識の醸成から派生した効果とは
●株式会社プリサージュの代表佐野昭子さんからメッセージをお預かりしてます。代読しますね。
- 【計測検査株式会社 人事 平嶋朱実さんへ】
-
計測検査さんには、新入社員研修とフォローアップ、管理職研修や女性特化研修などを長年ご依頼いただいております。社長も総務部長の平嶋朱実さんも、とても素晴らしいお人柄の方々です。
平嶋さんとは、勉強会仲間の株式会社リョーワの田中裕弓社長に北九州の企業の合同新人研修会を依頼されたことを機に知り合い、それ以来のご縁です。もう10年以上になりますね。
平嶋さんは、とにかく社員に対してとても暖かい想いを持っておられる方です。真面目に仕事をこなすと同時にとても優しくて、真摯に自分を高めようと自己啓発の勉強会にも熱心に足を運ばれています。
平嶋さんに引っ張られて人事部が成長し、社員もそれを見習って会社全体がホスピタリティにあふれているような状態です。
1回の研修だけで人が育つものではありません。研修をきかっけに、管理職の指導も含め、どれだけ会社の中で社員を育てていけるかが大切になってきます。
計測検査さんは、社員の皆さんもホスピタリティにあふれていて、素晴らしく育成ができていると思います。
平嶋さんにはずっと頑張って成長していただきたいですし、私の助けにもなっていただきたい。これからも、お互いに切磋琢磨して成長していきましょう!
●とのことです。率直なご感想をお聞かせください。
佐野先生とは本当に長いお付き合いで、初めてお会いしたときのことは鮮明に覚えています。
先生と出会うまで、実はビジネスマナーのことはまるで分かっていなくて、「名刺交換すらしっかりできない」と、恥ずかしく思った記憶が残っています。
以来、「先生のようになりたい」という想いで、先生をロールモデルのようにしてここまで歩んできました。それでも全然及ばないですけど(笑)。
佐野先生とは、研修講師と顧客企業の一社員という関係性を超えて、勝手に「心の友」だと思っています。
私に孫が生まれたときにはお祝いしていただいたり、季節の変わり目には絵葉書のやりとりをさせていただいたりと、心温まる交流が続いていることに感謝しています。
先生のように継続して優しさを届けられる方は、なかなかいません。
本当にすごい。「今の私があるのは、先生がいるから」と声を大にして言いたいくらい、感謝しかないです。私、お世辞はあまり得意ではないので、心からの本音です!
●素敵な関係性ですね。先ほど仰っていた「強くて愛される会社」づくりに向けて、佐野先生の研修も一役買っておられるのでしょうか?
「強くて」の部分、すなわち技術力向上に関しては、一昨年頃から社内で社員が講師になって学びの場を作ったり、オンラインを活用して講義を行ったりしています。
技術サービスの会社である以上、自分の部門だけでなく他部門の技術も学び、自らを成長させていかなければ、人生100年時代に対応できません。
個人の成長は、ひいては会社の成長にもつながり、会社を「強く」します。
それよりもずっと前から取り入れてきた研修が、佐野先生の研修です。研修を通してホスピタリティ意識の醸成を図ってきたことで、ホスピタリティから派生したプラスの効果が多々あります。
社内の全員が実際にホスピタリティを実践できているかというと、必ずしもそうではないです。
しかし、同じことを先生から学んでいるので、ホスピタリティを軸とした共通の意識をベースに考えることができます。
特に、女性のメンバーが多い事務職では顕著な変化が見られました。佐野先生の研修を通して、「自分がどのように成長していくべきか」を改めて考え、意識できるようになったのだと思います。
私自身の意識も大きく変わりました。私は、20歳で一般事務職として当社に入社、産休を取りながら2人の子を生み育て、30代前半で一旦リタイヤしました。
8年ほど会社から離れて、11年程前に戻ってきたかたちです。その間、会社では総務担当、経理担当を経て、今は総務から財務関係まで広く任されています。
佐野先生との出会いは、2012年に外部のホスピタリティ研修に参加したときのことでした。
ホスピタリティを中心に据える先生の研修は、当社の社風にも馴染みましたし、私自身も強く共感しました。最初に先生の研修を受講したときは、「これだ!」という手応えがありましたね。
新人研修から女性研修まで通底するホスピタリティの心
●個人的にも衝撃的な出会いだったのですね。以来、10年以上にわたり佐野先生に研修を依頼されている理由は、どのようなところにあるのでしょうか?
佐野先生にお願いするまでは、新入社員研修に講師を呼ぶことはしていませんでした。社内規定をある程度定めていて、それに則って進めていましたから。
しかし、会社で働くということは、もとをたどると知識云々よりも第一に「人と人との交わり」です。そこで一番大切になってくるのが、まさしくホスピタリティの心。
佐野先生は、「ホスピタリティ」を中心に据えた研修をされているので、そんな先生にしっかりと教えていただきたいと思い、2014年から当社単独で先生に新人研修をお願いしました。
以来、フォローアップ研修、営業研修、女性研修などを定期的にお願いしています。
●佐野先生は、大学でも教鞭をとっておられますね。学生さんたちと年齢の近い新人研修の受講者の皆さんの反応はいかがですか?
やはり、若い人たちにお話しすることに長けていらっしゃいますし、先生の言葉は新入社員にもすっと届くようです。
新入社員は、社会人になって社会の厳しさに直面します。皆さん緊張の面持ちで入社してきますが、そんな新入社員の皆さんも、素晴らしい先生から学ぶことで自信をつけてくれます。
当社としても、「手探りで自己啓発せずとも、佐野先生の研修がありますよ」と、安心して入社してもらうことができます。
女性研修も非常に意義深いです。技術サービスを事業内容とする当社は、まだまだ女性が少なく、男性社会であることは否定できません。
その中でどう女性が前に進んで行ったらいいか。先生の女性研修では、そんな観点から自分を見つめ直すことで、とても良い気付きを得られます。
また、女性研修ではカラー診断なども取り入れて、一人ひとりに似合う色を教えてくださるなど、楽しくユニークな面もあります。
佐野先生には、日頃からふだんの服装や何気ないことをいろいろ聞かせていただいて、一人の女性としても良き相談相手です。
これまで聞いたことはないですが、人生100年時代に向けて、佐野先生が一人の女性として、そしてプリサージュとして、どんな未来を描いておられるのか、いつか伺ってみたいですね。
「自分のことが好きですか?」、自己を客観視し価値観を明確化する研修
●佐野先生の研修で、特に強く印象に残っていることはありますか?
価値観研修が印象に残っています。
やはり、価値観を客観的にあぶり出して可視化するという営みは、自分一人でなかなかできるものではありません。研修でそんな機会を得られたのは、大変ありがたかったです。
価値観研修では、「何に価値を置いているか」を自分に問い、「それが自分のなりたい将来像にプラスなのかマイナスなのか」、「弱点をプラスにするために、どんなことにどう取り組めばよいか」を探ります。
私にとって、これは大きなプラスになりました。
自分の中に「価値観」、「ありたい姿」があることを知った上で、そこに到達するために足りない部分を可視化したことで、弱点を克服できました。
「自分のことが好きですか?」と問われて挙手を求められたことがありましたが、振り返ると、自分を客観視する糸口になる良問だったとしみじみ思います。
●平嶋さんの人生を変えたといっても過言でない研修だったのですね。ずばり、御社にとってプリサージュないし佐野先生とは、どのような存在ですか?
厳しさの中に人への優しさがあり、真の意味でのホスピタリティを体現されている存在です。佐野先生は、非常にきちんとされた方で、研修内容も決して甘くないです。
先生が来られる日は社内でも「背筋が伸びるね!」と言い合っているほど。でも、厳しさの中から自然と心の優しさが伝わってくるのです。
ホスピタリティ研修はどんな企業にとっても不可欠な研修だと思います。ホスピタリティの意識が欠けている企業にこそ、先生のような方が必要です。
先生のホスピタリティが、研修や大学での授業を通じてどんどん広がっていくことを願っています。
「健康でより良い人生を歩んでほしい」人事担当者の願いに伴走
●最後に、今後プリサージュとの関係をどのように発展させていきたいとお考えですか?課題も含めお聞かせください。
これ以上ないほど良くしていただいておりますので、「感謝」の一言に尽きます。今後も引き続き伴走していただければありがたいです。
これからは、世の中の流れとともに強調してほしい部分や追加していただく内容が出てくるかもしれません。都度内容をアレンジしていただいておりますので、今後も同様にご相談させていただきたいと思います。
私自身、残すところ5年で定年を迎えます。人事担当者としては、平均寿命が延びている社会において、社員の皆さんに健康でより良い人生を歩んでほしいという想いが一番にあります。
ただし、何もせずして「健康でより良い人生」は得られません。学び続けることがキャリアプランにつながります。また、人生を全うするには、お金の考え方、ライフプランの立て方も学ぶ必要があります。会社として、社員がキャリアプランを築き、ライフプランの立て方を学べるよう、できる限りの機会を提供していきたいです。
また、年に1回の従業員満足度調査を実施しています。これまで2回実施しました。
1回目の調査では、「気を付けたいところ」が浮き彫りになったので、それをどう改善できるか部ごとに全員でディスカッションし、「翌年取り組むこと」を明確化しました。その上で経営方針、事業方針、各個人の方針へと落とし込み、取り組んできた結果、2回目の調査では満足度が上がっていました。
今年もディスカッションを終えたところなので、次の年に向けてPDCAを回しつつ、「強くて愛される会社」像に近付いていきたいです。
私自身も、引き続き学び続けながら豊かな人生を全うしたいと思っています。佐野先生には、これからも末永くお付き合いいただければ嬉しいです。
●両社もお二人も、良い意味で緊張感のある素敵な関係性を築いておられるのですね。ホスピタリティを軸にした御社の発展にも期待が膨らみます。本日はありがとうございました。
- 【企業概要・事業内容】
-
社名:計測検査株式会社
代表者:代表取締役 坂本 敏弘
本社所在地:〒807-0821 福岡県北九州市八幡西区陣原1丁目8番3号
TEL:093-642-8231
FAX:093-641-2010
設立:1974年11月1日
従業員数:132名(2022年4月現在)
営業種目:非破壊検査、材料評価、構造解析、振動測定、土木計測、応用測定、環境関連計測、トンネル等コンクリートの構造物健全度調査、映像機器の販売および選定に関するコンサルタント業務、撮影、映像機器などの取付治具の設計・製作・販売、撮影機器を用いた各種構造物の検査、維持管理に関するコンサルタント業務。 - 【プロフィール】
-
平嶋朱実(ひらしま・あけみ)
計測検査株式会社総務部長
ライター 宮原 絵梨奈